第1部で年金の基本的な仕組みを学んだところで、今度は特定の条件に該当する場合の年金の受け取り方について見ていきましょう。65歳以上で働き続ける方や、病気やケガで働けなくなった場合、また家族が亡くなった場合など、それぞれに応じた年金の制度が存在します。
第2部では、在職老齢年金や障害年金、遺族年金の詳細を説明し、さらに年金額を増やすための具体的な方法や、海外に住む場合の年金の受け取り方についても触れます。
特定の状況で年金を受け取る際に役立つ知識をしっかりと身につけ、今後に備えていきましょう。
在職老齢年金とは?
在職老齢年金は、65歳以上になっても働き続ける場合に適用される年金制度ですが2024年度に改定がありました、以下がその詳細です。
在職定時改定とは、65歳以上の人が働きながら老齢厚生年金を受け取る際、年金額を増やすための仕組みです。65歳以降も厚生年金に加入して働き続ける人に適用され、毎年1回、基準日に基づいて年金額が再計算されます。再計算によって、その年に働いた分の年金額が上乗せされるため、働きながら老後の年金を増やすことが可能になります。
仕組みの詳細
70歳での最終改定: 70歳になると、被保険者資格を失い、これまでの加入期間を全て反映した年金額が確定します。これが最終的な年金額となります(National Pension Service)。
対象者: 65歳以上70歳未満で、厚生年金保険に加入しながら働いている人。70歳になると厚生年金保険の被保険者資格を失います。
改定のタイミング: 毎年9月1日時点で被保険者である場合、その年の9月から翌年8月までの厚生年金加入期間を基に年金額が再計算されます。再計算された年金額は、10月からの年金支給分に反映され、12月から受け取ることができます。
年金額の増加: 1年間の被保険者期間に応じて、年金額が増加します。増額される年金額は給与や加入期間に基づいて計算されますが、働く期間が長ければ長いほど、年金額が増えるという仕組みです(National Pension Service)。
参考引用
年金を受け取りながら、収入を得ることができる仕組みですが、収入が多い場合には年金額が減額されることがあります。
具体的には、月収が約50万円を超えると、年金の一部が減額される仕組みです。
- 65歳未満の場合は、月収が約28万円を超えると年金が減額されます。
- 65歳以上の方は、より高い基準(約50万円)で減額の有無が判断されます。
【#知っておきたい年金のはなし】
「『公的年金制度』ってどんな仕組み?」
働く世代が保険料を納めることで、将来必要なときに年金が受け取れる仕組みです。老後の生活のほか、病気やけが、家族の死去など予測できないリスクから、私たちの生活を一生涯保障します。 pic.twitter.com/kuerMyfiO4— 日本年金機構 (@Nenkin_Kikou) September 24, 2024
在職老齢年金のポイント
- 減額基準があるため、働き方や収入を見直すことで年金を効率よく受け取ることが可能です。
- 減額された年金は将来にわたって減ったままではなく、受給停止された分が調整されることもあります。
詳細な計算例や情報については、厚生労働省の公式ページを参考にしてください。
参考引用
障害年金や遺族年金を受け取る場合
障害年金や遺族年金は、病気や事故で働けなくなったり、家族が亡くなった場合に支給される特別な年金です。これらの年金は通常の老齢年金とは異なり、申請が必要です。
条件に該当する方は、できるだけ早めに申請を行うことが重要です。
障害年金
- 障害年金は、働けなくなった場合に支給される年金です。障害の程度によって、障害等級が決まり、それに応じた金額が支払われます。
- 支給対象となるには、保険料の納付期間が一定以上あることが条件となります。
遺族年金
- 遺族年金は、年金を受け取る予定だった方が亡くなった場合、その遺族に支給されます。主に、配偶者や未成年の子供が対象です。
- 遺族基礎年金と遺族厚生年金の2つがあり、状況によって受け取れる金額が異なります。
詳細については、年金機構の公式ページで確認できます。 参考引用
年金額を増やすための方法
年金額を増やすための方法は、繰り下げ受給以外にもいくつかの方法があります。特に以下のポイントを押さえておくと、将来の年金額を増やすことが可能です。
方法1: 保険料の追納
過去に未納だった年金保険料を追納することで、受給額を増やすことができます。追納は、過去10年間の未納分について行うことができ、特に退職後に再確認するのがおすすめです。
方法2: 企業型確定拠出年金(企業型DC)の活用
もしあなたの勤務先で**企業型確定拠出年金(DC)**が導入されている場合、これを活用することで、老後に受け取れる金額を増やすことが可能です。
企業が拠出するお金を元に、自分で運用先を選び、将来の年金として受け取ることができます。
方法3: iDeCoやつみたてNISAの利用
iDeCoやつみたてNISAなど、個人で積み立てる投資も年金の補完として有効です。
税制上の優遇があり、老後の資金を効率的に増やすことができます。
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— 日本年金機構 (@Nenkin_Kikou) September 24, 2024
海外に住んでいる場合の年金の受け取り
海外に移住しても、日本の年金を受け取ることが可能です。
ただし、いくつかの手続きを行う必要があります。
- 日本国内の口座を持っている場合、その口座に振り込まれますが、海外の口座に振り込むこともできます。
- ただし、住んでいる国によっては税金や為替レートの影響を受ける可能性があります。
また、海外に長期滞在する場合や、日本の年金制度に加入できない場合には、現地の年金制度への加入が必要になることもあります。詳しくは日本年金機構の案内を参考にしてください。
参考引用
まとめ
第2部では、特定の条件に該当する場合の年金の受け取り方について解説しました。
在職老齢年金や障害年金・遺族年金など、特別な状況に応じた年金の受け取り方法や、年金額を増やすための工夫について紹介しました。自分の状況に応じて、最適な年金の受け取り方を計画し、老後の生活をさらに充実させるために備えておきましょう。
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